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ファースト・マン (2019) FIRST MAN 536本目

宇宙飛行士にはなりたくない! ファースト・マン (FIRST MAN)

出演:
ニール・アームストロング役 ライアン・ゴズリング
ジャネット・アームストロング役 クレア・フォイ

監督:
デイミアン・チャゼル
お勧め度★★★☆☆

以前、フロリダのケネディー宇宙センターに遊びに行った時のことを、「オデッセイ (2015) 」のレビューでも書いたのですが、シャトル打ち上げ体験はとっても怖くて、改めて宇宙飛行士ってすごいなぁと思った記憶があります
その時に月面着陸した時の映像や、音声なども展示してありました。
ついでに「月の石」なるもの(見た目も触った感じもただの石)を見ることもできて、なかなか楽しい施設でした。
そこで、アポロ計画の詳細を見たはずなんだけれど、全然覚えてなかった・・・。
そういう意味で歴史を知るいい映画です。

宇宙飛行士ニール・アームストロングの、1961年から1969年にかけてのジェミニ計画、そしてアポロ計画についての物語。

人類で初めて月に降り立ったアームストロング船長の話は、本当に有名過ぎて知らない人なんていないだろう。
当然これまでにも映画になっているだろうと思っていたら、アームストロング船長が主役という映画は実はないみたい。
1995年に公開された「アポロ13」はアームストロング船長のお話じゃないし、2019年に公開された「アポロ11号(完全版)」はまさに題名のままなんだけれど、ドキュメンタリーなので、この映画とはちょっと違う。

最初にこの映画のストーリーを聞いた時、なんとなく「またか!」って感じたけれど、実際にはそういう意味で、今まで何度も何作品もアポロ計画に関する映画は作られてきたのに、アームストロング船長が主役で、彼視点で彼のプライベートを題材にした映画は今までなかった。(たぶん)

そしてなにより監督がデイミアン・チャゼル。
「セッション (2014)」といい、「ラ・ラ・ランド (2017)」といい、私が好きな、興味深い映画ばかりだったから、期待大!
率直な感想といえば、

2時間以上の大作が、あっという間だった!

ここで注意して欲しいのは、この映画はアームストロング船長が月へ行った時のお話がメインではない、ということ。
正直月に行くまでがかなり長いです。

これはあくまでアームストロング船長がただの「ニール」だった時から始まって、月へ行くまでの彼の人生が語られた映画。

でも、だから面白かったし、他の月面着陸を描いた映画とは違っていた!

どうしても宇宙飛行士の映画って、英雄譚になってしまいがちだけれど、この映画はそういう感じがあまりありません。
主人公ニールが本当に真面目で堅物な性格だったのかどうかは知りませんが、ヒーロー的な性格の要素はあまりなく。
どちらかというととっても静かな映画。
そしてニールと家族の不安定な感じが始終心配な映画

歴史的事実を元にしているので、結末は皆さん知っての通り。
だけど、私の中でアームストロング船長とは、”That’s one small step for man, one giant leap for mankind.”(これは一人の人間にとっては小さな一歩だが、人類にとっては偉大な飛躍である)というあまりにも有名で、カッコ良い言葉をスラスラと言っているので、とても豪傑なユーモアのある、ザ・アメリカ人って感じをイメージしていた。
そうすると、ちょっと映画の中のニールとは全然違っていました。

そういう意味でもこの映画は見る価値がある。

そしてたぶん、フロリダのケネディー宇宙センターで見たはずの「アポロ1号」の事件に関しても、すっかり忘れていて衝撃的でした。

よくよく考えるとあの時代に人間の未開の地へあんなハリボテみたいな宇宙船で行こうなんて、自殺行為でしかない。
しかも、結局アメリカの宇宙開発はロシアとのくだらない競争で推進された感が半端なく、それに携わっている人達の犠牲が軽んじられているように感じた。

今となってはアメリカの宇宙開発やNASAの活動は今後の地球の未来を支える大切な活動だってわかっているけれど、当時は宇宙開発に関して、「そんな事にアメリカ国民の税金を使う必要って本当にあるの?」と蓮舫でなくても文句いいたくなるはず。

確かにこういう事って、「本当に必要なことなのか?」の判断が付けづらい。
ゴールが見えないし、失敗を重ねて犠牲が大きくなればなるほどこのまま続けていいのかって不安になる。
実際にアポロ以降、月面着陸をしなくなったのは、あまりにもお金がかかり過ぎるからだとか。
そしてスペースシャトルの打ち上げも終了してしまっている(別の有人宇宙船が開発されているらしいけど)。

この映画の主演のライアン・ゴズリング。
監督とは「ラ・ラ・ランド (2017)」でもタッグを組んでいた。
Ryan_Gosling_Cannes_2011.jpg
どんだけライアン好きなんだよ!

と言いたくなるけれど、きっと彼の中でイメージが最高にマッチしたんでしょう。

ライアンは「アームストロングが成し遂げた偉業はアメリカの偉業ではなく人類の偉業だと思っています」と発言したことで、この偉業にすべてのお金と犠牲を払った、アメリカ人からのバッシングを受けたというけど、ホント、くだらない。
アームストロング船長が"American"ではなく"Mankind"という言葉を使った意図をアメリカ人にもわかって欲しいものです。
しかも映画ではいろいろな国の人々がこの偉業を称えているシーンがあり、そのぐらい凄い事だったというのに、どうしても血税の出どころをはっきりさせないとモヤっとしちゃうという国民性がホント、嫌になっちゃうねぇ。

あとは月面着陸の映像で必ずと言っていいほど出て来るアメリカの国旗がこの映画には登場しないことを批判する人達も。
その事について、映画にも登場しているニールの子供たち(もうすっかりオジサンですけど)は、「全く気にしてない」と言っていた。
さすが。
この映画は2人の子供たちだけでなく、奥さんのジャネットやニールの妹にも取材を重ねて作り上げた映画。
そして、CGを極力排除し、LEDスクリーンをセットに設置したり、ミニチュアを利用したりして、監督がリアル感を追及して撮影した映画だそうです。

この映画、面白かった!と共感する人がいたら、教えてくださいな。
この映画は事実を元にしているので、知っている人にとっては目新しい事実は何もないと思うけれど、ニールという1人の人間が宇宙飛行士としてどんな苦悩があったのか、そしてアポロ計画の裏側にあったいろいろな犠牲や問題点をサラりと見せてくれる映画です。

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